最愛~あなただけが~

 翌日、朝出勤して事務所に入るなり、電話が鳴った。

「はい。
 薬志堂、都築でございます。」

『あ、おはようございます。』

 電話口の女性は、上品な感じの声だった。

「おはようございます。」

『いつも主人がお世話になっております。
 鷹野の家内ですが・・・』


 ・・・鷹野さんの、奥さん!?


 心に、墨をこぼすように真っ黒いシミが広がっていく。


『主人、昨日から熱があったみたいで。
 今日、40℃出てるので会社はお休みさせていただきます。
 扁桃腺が腫れて喋るのもつらいようなので、私が主人に代わってお電話させていただきました。』

「・・・わかりました。
 お大事にと・・・・・お伝えください。」

『はい。
 では、失礼します。』





 ツーッ、ツーッ、ツーッ・・・




『妻』の声が、耳にこびりついている。

 見たこともない鷹野さんの奥さんに、私は自分でも驚くほど嫉妬していた。