最愛~あなただけが~

 ようやく辿り着いた家電売場は、他の売場ほど混んでいない。

「都築さん。
 電気ケトル、あっち。」

「あ、はい。」

 私は、電気ケトルコーナーを見つけて歩いていく鷹野さんの背中を追いかける。


「おー。
 結構種類が豊富だなぁ。」

 ずらりと陳列された電気ケトルを見て、鷹野さんが驚いたように声を上げた。

「どれにしよう・・・」

 私は、電気ケトルをひとつ手に取って見てみる。

「それは小さ過ぎじゃないか?」

「え?そうですか?
 一人暮らしにはちょうどいいと思いますけど・・・」


 私がそう返すと、鷹野さんは、あのなぁ。と、呆れたように笑った。


「いずれその彼と二人暮らしになるだろ?
 そうなった時、今見てるそれじゃ容量が小さ過ぎるって。」

 鷹野さんは、私の手から電気ケトルを取り上げて棚に戻す。