一歩、また一歩と恐る恐る近づく。

王様ってこんな顔するんだ…

今でも、野性的な瞳は私を捉えて逃さない。
まるで、わたしを、捕まえるような─…

「そう、いい子だ、ッ─…」

グイ、と手を引っ張られ思わずつまずいてしまった。

転ぶ!!!!!


そう思い硬く目をつぶり構えたけど、衝撃は来ない。

ゆっくりと目を開くと、玉座から身を乗り出し私を右腕で構えている王様が見えた。


「ッ…王様!?私のような、下賤な者に触れないでください!お手が汚れてしまいます…!それにッ「黙れ!!!」

ビクッと大げさに体をふるわせた私に王様は口を開く。

「自分を卑下するな!!お前は、下賤な者なんかじゃない!!…頼むから、自分を蔑むような言葉を使うな…ッ!」

牙をむき出しにし、肩を震わせながら叫ぶ王様はなぜか悲しげで。