獲物を見つけたような野生の瞳でジッと見つめられる。

世界に2人だけしかいないような、不思議な感覚に陥るもハッとして我に返り顔を背けた。

「立って、この段を上ってこちらに来い。命令だ」

「ッそんな、私はそちら側にはいけませんッ…!!」

私達の国で、玉座の前にある一段の段を上ることはタブー。

婚約者でもない限りは、絶対に踏み込んではいけない。
どんなことがあっても、それだけは律儀に守られてきた掟だ。

今更そんな、自爆行為なんてするわけ──…

「聞こえなかったか?命令だ、と言っただろう?」

唸るように言われ、思わずひるむ。