でも店員は俺にではなく、カンナに聞いている。


…そっか…。店員にはカンナが彼女に写っているんだ…。



なんだか少しだけ…胸が痛む…。


でも理夜のサイズを知らない俺は…



『七号です!』


なんて…勝手に答えている楽しそうなカンナに何も言えなかった。



何も言えない俺にカンナは、


『これにしようよ…。いいでしょ?』


と、催促する。


店員も…期待した目で俺を見ている…。


だから俺は、


『じゃあ…これで…。』


と言うしかなかった。




『あのー…これは…エンゲージリングとしてですか?』


店員は聞いてくる。




『はい…。』


普通に答えた俺に、店員は、


『おめでとうございます!』


なんて言っていたけど…



店員が席をはずした時、こっそりカンナが、


『たぶん勘違いされたね…。お水の女に貢ぐ男だって…。』



そう言った。



そっか…。だからエンゲージリングか聞かれたんだ…。