翼は無言で車を走らせた。


ずっと…二人が好きだったアーティストの曲がかかっていて…



離れていた二人がこれからはずっと傍にいて…ずっと愛し続ける…



そんな歌詞だった。


この曲を聴くたびに…私たちは…



『ずっと一緒にいようね!』


って、愛を確かめ合っていた…。



いつ頃からだろう…


この曲を聴いても…何も言わなくなったのは…。



言わなくなったその時から…私たちの心が…狎れ始めていたのかな…


そんなことを考えながら…流れる景色を眺めていた。





翼が向かった先は…


やっぱり、いつもの場所…。



大黒ふ頭だ…。





いつもの橋の真ん中に車を停め…翼はステレオのボリュームを少し下げた。



どう切り出したら…


なかなか声が出ない…。



そんな私に…



翼は意を決したように…話し始めた…。