翼は、虫歯ではないようで…
そのまま取れてしまった銀歯を付けることになった。
隣にいる私をちらちらと見ているようだったけど…
私は一度も翼と目を合わせることはしなかった。
翼はあっという間に終わり…
一度も目を合わせず…一度も会話することなく…
帰っていった…。
ホッとしている自分と…
“ズキッ”と胸の痛みを感じている自分…。
翼とのことを知っている夏子は私たちの険悪な雰囲気に興味津々…。
質問攻めにあった。
うんざりしながら、
『只のケンカ中…。』
とだけ答えておいた。
夏子は腑に落ちないみたいだったけど…。
休憩に入り、私はすぐに携帯を開いた。
亮太から来ているであろうメールに目を通すために…。


