『翼…ありがとう…。ちゃんと買い直してくれたんだね…。翼がものすごく後悔してくれたこと…私を一番だって気付いてくれたこと…本当に嬉しい…。……でも…これは受け取れない…。』


私は指輪を翼に返した。


『なんで…』

翼は力なく…呟き…指輪を見つめていた。


『私も翼と一緒…。私も翼が隣にいるのが当たり前で…この七年間に狎れ始めてた…。それに…翼の気持ち…分からなくなっちゃって…このまま結婚してもいいのかって思ってた。そんな時にね…ある人に言われたの…。それは愛情じゃない…情だって…。でも情じゃない…って思ってた…。あのカフェで…翼とあの女の人と会って…辛くて…それ以上に私に避けられて辛そうな翼の顔を見るのが辛くて…それは愛してるからだって…思ったけど…違ったの…。翼のこと好きだけど…もう…愛情じゃ…ない。』



『…そのある人って…男か?』


絞るような声で翼は問いかける。


『…うん。友達だと思ってた人。翼のことで悩んでた時…ずっと私を支えてくれたの。その人とはね…一度しか会ったことなくて…。でも、一番私のこと理解してくれてた…。でも、この前…見たの…。遠くからだったけど…私…その時初めてその人のこと…好きだって気付いた。』


『…何だよ…それ…。それじゃあ…そいつのとこにいくのか?』


『…行かないよ…。もう…会っちゃいけない人だもん。』


『じゃあ…俺とやり直そう!俺たち…少しずつ関係を修復していこう!』



必死に私の肩を掴み…真剣な目で私を見つめる…。



でも私は…首を横に振った。


『一度、気持ちが離れちゃうと…七年っていう長い時間一緒にいても関係なかった。一度信頼を失ったら…だめだよ。いつか…お互いを責める時がくる。私たちはもううまくいかないよ…。』


諦めたように言う私に、


『なんで!!』


翼は声を荒げた。