あの時も、これからも

もともと用がないと電話もメールもしない男なのは、この4年間でよーく学んだ

「今何してる?」とか「元気?」みたいな、どう考えてもその後にメールのやりとりを望んでいるようなメールは送ってこない

「いついつ帰るから」とか……それくらいか、あいつがちゃんとメールしてくるのは

後はしるふが送ったメールに返信するだけ

ホント、ドがつくほど淡泊な奴だ

それに惚れる自分は、しかも愛想を尽かさない自分は、きっと変人というより、とっても偉い

こんなに一通のメールにも一本の電話にも勇気が必要な男なんて

でも、それでも…

しるふは、自分が寝転がっているベッドの壁側を顔だけ動かして眺める

そこはいつも海斗が寝ている場所

なぜか知らないが、ベッドの右にしるふ、左に海斗という一で寝るようになってしまった

たとえ、海斗が寝る側が壁にくっついているしるふの部屋で、しるふが先に就寝していてもそれは変わらない

海斗は、右側で寝ているしるふをまたいでベッドに入らなければならないのだけれど、それを不思議と思ったことはない

始まりはなんだったろう、と始まりの一年間を思い出してみたけれど、記憶に残るほど確かな出来事があったわけではないらしく、

思い出せたのは、朝になって横を見ると海斗がまだ寝てたりしたり、逆に海斗が先に起きていた時のこと