あの時も、これからも

「はあー」

ばふっと少しの振動とともに布団に勢いよく倒れこんで、天井を見上げる

ギシィと鈍い音を立ててきしむベッドはかなりの年季が入っている

「……海斗、何してるかな」

何もない天井を見つめながらなんともなしにつぶやく

何してるって、きっと勉強とか仕事とか、勉強とか仕事とか…

「…って、本当にあいつはそのまま病院にすんじゃえばいいのよ」

少しすねた様につぶやき、しるふは小さくため息をつく

わが彼氏ながら、浮かんでくる姿が白衣姿だけってどういうことだ

ドイツの街をぶらぶら歩いているのかなーとか

一人暮らしでもちゃんと料理してるんだろうなーとか

もっと思い浮かびそうな姿は多々あるのに

でも、今の海斗には白衣姿が一番似合っているような気がする(そんなこと言ったら迷惑そうな顔をするような気がするけど)

まあ、ただ単に海斗から電話が来ないのをあいつが忙しいだけって思いたいんだろうけど

そこらへん散歩する時間があったら、手の込んだ料理作る暇があったら一度でいいから着信を入れてみろ

ドイツに発ってすでに数か月経過しているのにあいつから電話があったことは一度だってないんだから