好きってそれだけで元気になれるものだと思うから

だからきっと私と海斗がいろいろずれているのは、たぶん私たちだから

そして海斗だから

思い浮かんでくるのは、ピアノを弾いている海斗の少し伏せられた漆黒の瞳やひざまくらの温かさ、沈黙すらも愛おしい時間

そして白衣姿

それだけ病院で過ごした時間は長い

それ以外はどちらかの家で過ごすのが基本で、改まってどこかに遠出しようなんてなかなかない

家にいても海斗が仕事を始めれば私は放っておかれて、胡坐をかいた海斗の腿に頭を乗せていると時々ぽんぽんと撫でてくれる

まるで忘れているわけじゃないというように

食事だって外に食べに行くこともあるけど、海斗も私もそこそこに料理ができるから部屋で作ってゆっくり食べるということもよくある

周りや時間を気にしないで二人だけの会話ができるところが利点

そうやって過ごすこと4年

時々思うんだ

もし海斗以外の人に恋をしてたら私は今何をしてるのかなって

それか海斗以外の人と続いていたらどうなっているんだろうって

そんなに経験ないから比較なんてできなんだけど