それをお互いにぶつけていたららちが明かないし、本末転倒になってしまう

それにそこまで揺らぐような関係ではない

だからちゃんとわかっている

逢いたくなるのは、あの声を聞きたくなるのは

しるふが、変わらず海斗を想っているということ

そして海斗からメールが返ってくるたびに、電話の声を聞くたびに

海斗の想いも変わらずにあることを知る

「無理、しないでね」

逢いたくなったら、限界だと思ったら会いに行っていいと思う

「一瞬の意地でさ、一生の想いを失うことはしないでね」

優しく諭すように言葉を紡ぐ秋穂にしるふはゆっくりとでも深く頷く

「大丈夫ですよ、秋穂さん」

先ほどまでの寂しげな雰囲気とは一手変わってしるふは、晴れやかな笑みを向けてくる

「海斗が帰ってきたら二人で顔出しますから、待っててくださいよ」

その力強い言葉に秋穂も深い笑みを宿す

「そうだね。楽しみに待ってるね。二人の結婚報告」

「いや、まだプロポーズはされてないんですけど…」

「え?だって待っててくれってそういうことじゃないの?」

「いやー、どうでしょう…」