「もっと飛んでドイツに滞在中でーす」

少しでも軽く聞こえるようにしるふは少しおどける

けれど秋穂は驚いたように目を見張り、少しの間固まる

「…それって出張なの?」

「んー、正確には留学なのかな?」

「いつから?」

「4月から一年間」

「一年間!?」

珍しく秋穂が声を荒らげる

出たよ、この反応、と心の中で苦笑する

「え?まさか別れたとか言わないよね?」

哀しそうに眉を寄せる秋穂にしるふは少し慌てる

「まさか、海斗が待っててくれって言うから私は残ったんですよ」

「え、帰ってきたら結婚しようとか?」

「いやー、そんなことは全然。ただ待っててくれってさ」

ただってことはないかな、しるふがいるところに帰ってくるよ宣言はあったしな、といろいろ事細かに説明するのが億劫になり始めたしるふは、そう思うだけにとどめた

対する秋穂は、海斗君いったいどんな心境でそんなこと言ったんだろう、と考え込んでいる