「久しぶりだな、立花」

藤宮と呼ばれたその人は、しるふの大学時代の先輩だ

同じゼミで、とても優秀だった彼は教授からも一目置かれていた

「藤宮先輩も!お久しぶりです!!大学、以来ですよね?」

思いがけず藤宮と再会できてしるふは、ちょっとテンションが上がる

だって、あの頃のしるふの知る限りでは、藤宮の腕はナンバーワンだった

そのころから落ち着いた物腰の人だったが、今はそれに大人の雰囲気がプラスされている

濃紺のスーツがとても似合っていて、でも暗めの茶色に染められた髪がさらに雰囲気を優しくしている

「そうだな、俺が大学出て以来だな。そりゃ声かけるのに勇気いるわけだ」

流れた時の長さに思い当たったのか、藤宮が破顔する

笑った時に少し幼い感じになるのが、女子学生の間では人気だったのだ

同じゼミだったしるふは、よく間を取り持ってくれるよう頼まれていた過去がある

「でも、どうしてここに藤宮先輩が?有名都立大学病院に就職したんじゃなかったですっけ」

「ああ、数年前からこっちの方で世話になっててね。噂には聞いていたが、立花が本当に天下の黒崎病院メンバーだとはね」

ふと優しい瞳を向けてくる藤宮にしるふはへへへっと少し照れたように笑う