海斗の言葉や行動に一人慌てふためいていた頃を思い出し、しるふは、ちょっと悲しくなった

4年経っても自分が海斗にかなわないことは何も変わらないらしい

「もう…ホント、そういうとこ反則…」

照れ隠しに少しすねた声でつぶやく

「振り回すのも振り回されるのもお互い様」

「私、海斗を振り回してないもん」

「そういう無自覚なところで結構ふりまわされてるんだけど」

「具体的に?」

「さあ、無自覚なしるふに言ってもどうせ認めないだろ?」

「…海斗ってさ、人に弱み握らせることないよね」

教えてくれたら意図的に振り回してやろうと思ったのに

「まーね。これでも一応いろいろ大変な身の上ですから。まあ、しるふは例外だけど」

「だったら教えてくれてもいいのに」

「そのうちな」

もう、この人はいつもうこうなんだから

そう思いつつもこうやって何気に会話ができたことがうれしいと素直に想う

「海斗、あと3か月だね」

「ああ、そうだな」

短い言葉でもいい、小さなことでいい、

ただ想っていてくれれば、それを時々伝えてくれれば