「そしたらそれまでの恋だったんだよ、海斗とは。てか一年ぽっきりで他の女作るような男、こっちから願い下げだね」

蹴り飛ばして別れてやるわ

ふん、と言い切るしるふに何を言っても無駄だと判断した紗雪は困ったように、何も言わずに実の妹二人の応酬を眺めている兄、由斗を見る

紗雪と目が合うと由斗はどうしようもないんじゃないか、と肩をすくめた

希央も速人も困ったような顔をしている

付き合って4年を数える海斗としるふは、はた目から見てもそのうち結婚という形で落ち着くだろうと予想が付いた

だから安心してみていたのだが

まさか海斗がしるふを置いてドイツに行くとは

普通そこドイツに行くから結婚しよう、とかなるんじゃないかなー

いや、海斗君は何を考えてるかさっぱりわからないからな

これはもっと口を酸っぱくして「責任とってね」って言っておくべきだったか…

しっぱったなーと紗雪は肩を落とす

これで一年後、二人が別れたらどうしよう

海斗にはほかに女なんてごろごろ転がっているだろうが、しるふの性格を見抜いて気遣ってくれる、受け止めてくれる器を持った男はそうそういない

しかも彼氏三人目で海斗のような男と付き合ったしるふが、果たしてこの後違和感を抱くことなく男と付き合えるだろうか

どうしても海斗と比べて別れを告げるような気がする

三十路を迎える女が付き合った男と別れてその先どうすんのさ、と紗雪は頭を抱えた