「あわわ、ねえ莉彩、ヘルプ」

「っとにもー、よく小児科に行ってたくせにどうして抱き上げるたびに泣かすのよ」

だって…、という言い訳は腕の中でぐずり出した莉彩の長男の声に掻き消される

莉彩の腕に戻ると途端に泣き止むその子を見て、少し哀しい気持ちになりながら

「やっぱりわかるのかな。他人だって」

とソファに座りながら莉彩を見上げる

「それか単にしるふの抱き方が下手なだけ」

姪っ子がいる割には慣れてないのね

「仕方ないじゃない?姪が生まれたころはいろいろ忙しくて実家に寄りつかなかった時期だから」

「これじゃ先が思いやられるわねー。どうすんの、結婚して子供が生まれて、でも黒崎先生は仕事なんて日常になったら」

「…妙にリアルで笑えない」

はははと乾いた笑いをするしるふに長男をあやしながら

「でも、これでやっと私もお役目ごめんだなー」

と一人ごちる

「お役目って何の」

「もちろん、しるふの愚痴聞きと黒崎先生協力隊としての役目よ」

莉彩の言葉に納得しながら

「その節はどうもお世話になりました」

と畏まって頭を下げる

付き合い始めたころから莉彩にはいろいろと助言や愚痴聞きをしてもらった