あの時も、これからも

「何しに来たんだ」

花蓮の不満を無視し、海斗はさっさと要件を済まそうとする

「海斗君、恋人がいるって本当?」

「なんで」

今更…とやっぱり、という思いが心の中で交差する

「久しぶりに日本に帰ったらそういう話を聞いて」

それで即ドイツに飛んできたわけか…

さすがというか

もはやあきれを通り越して感嘆すら覚える

「そういう話なら戻るぞ。仕事がある」

くるりと踵を返して立ち去ろうとする海斗の背に花蓮の高めの声がかかる

「海斗君、どういうつもり?会社令嬢や教授の娘ならまだしも一般人と付き合うなんて」

しかも4年も

「関係ないだろう。望月には」

「ばかね、苦労するのはその大切な御嬢さんよ」

壊れるのが目に見えてるのに誰が認めるのよ

「だから、誰が認めてくれなんて頼んだ」

うんざり、そう言いたげな顔で海斗が振り返る

「あなたには上に行ってもらわないといけないの。医療界を変えるくらいにね。だからそれを支えられるくらいの人がそばにいないとだめなのよ」

なんのために私が身を引いたと思っているの

誰も頼んでないんだが

そう思いながら海斗は踵を返した