そんな亜紀に苦笑していると、横にいた弘毅が秋に対してため息をついた後、しるふに視線を向けてくる

「…左手にしてるんだ」

突然紡がれた言葉の意味を理解できない

「え?」

何を言われてるかわからず、弘毅の視線を追う

その先にあった左手にしるふはああ、と納得する

「この間は右手にしてたのに」

状況をすべて了解しているような、そんな瞳を弘毅が向けてくる

「ああっと、うん。まあ、ね」

歯切れが悪い回答しかできないのは、プロポーズされました、なんて言っていいものかわからないから

あと少し照れくさいから

だって弘毅は、すべてを了解したようにとても優しい瞳を向けてくる

ついでに目ざとい

さすがわ海斗の親友

「ホントだ。お正月は右手にしてたよね」

どういうこと?

と弘毅の指摘に興味を抱いた亜紀が、海斗へのグチをいったん中止する

亜紀の問いかけにしるふは、はははっと乾いた笑いを見せる