あの時も、これからも

そっと手を伸ばせば、簡単に触れられる

なぞる輪郭が半年前より少しだけ精悍さを帯びたように思えるのは、たぶん気のせいじゃない

「かいと」

そっと名を唇にのせれば見下ろしてくる瞳が応えるように一瞬細まる

ゆっくりと刻まれる時間

どちらも動かないのは、この瞬間が愛おしいから

海斗がしるふの髪に指を絡めたのが合図だったように再び重なる唇

いつもより深いそれに、たまらずに何度だって存在を確かめる

逞しい腕がしるふを抱き寄せるからもっと海斗を感じたくて

細い腕を伸ばすのは逞しい背

海斗の首筋に顔をうずめて、感じるのはお互いの鼓動

規則的に刻まれるそれにそっと腕に力を込める

直に感じる体温がどこまでも愛おしい

額が重なれば、漏れるのは二人分の笑い

これっぽっちの隙間もないこの瞬間が、本当に大好きだ

静かな部屋で、外界から遮断された部屋で、二人だけの時間が過ぎていくこの瞬間が

いつまでもそうして居たくて

もっと抱きしめてほしくて

温もりを感じたくて

「かいと」

もう一度その名を唇にのせる

瞳が切なさを帯びるのは、込み上げてくる愛しさのせい

半年ぶりの胸の高鳴りのせい

見下ろしてくる漆黒の瞳が優しくて

それだけで十分だ