「くれぐれも変な女の人について行ったりしないでね、海斗」

「だから誰もついて行ったりしないって。しるふこそそこら辺の男に気をつけろよ」

特に患者

そう言い置いて海斗はしるふの頭を撫でる

「あ、あと電話はまだしも、メールは返してよね」

「はいはい」

その華奢な体をもう一度抱きしめるために

二人で笑いあうために

もう、迷わない

「じゃ、行ってくる」

「うん、行ってらっしゃい」

果たしてこの決断が正しかったのか、望む未来を手に入れられるのか

今はまだわからない

けれど必ずつかんでみせる

決して離したくないと心が言うのなら、絶対にもう一度つかみ取ってみせる



ゲートに消えていく海斗の凛とした背を、しるふは見えなくなるまで見送った

「大丈夫だよ、海斗」

絶対に乗り切って見せるから

つらいのは自分だけじゃない

だから絶対に乗り越えて見せる