あの時も、これからも

「……っ」

静かな部屋の中、はっきりとした声音で告げられたその言葉にしるふは目を見張る

その瞳にじわじわと涙が浮かんでくる

思わず顔を伏せたしるふの掌で海斗がそっとその箱を開く

中に入っていた小さな輝きにしるふは息をつく

「感謝しろよ。ちゃんと本店に行ってやったんだから」

その特徴のある箱はしるふが大好きな店のものだ

右手にはまるペアリングを買った店

シンプルだけれどしっかりとしたつくりで細かな気遣いのあるデザイン

何より単品の男物を作らない主義のその店の指輪は、知る人ぞ知る意味合いを持つ

その特別さが好きで、しっかりと海斗の彼女だと言われているようでうれしかった

「……っんでさー、結婚しよう、なの?普通してくださいでしょー」

なんでそこで俺様なのー

小さくしゃくりながらしるふが、けれどうれしそうに口元に笑みを宿す

相変わらず素直じゃない

海斗は苦笑しながらもしるふの手に添えていた手を離して、涙を拭いているしるふの右手をとる

そこに約2年はまっていた指輪を抜き取ると箱の中の指輪と入れ替えて、箱をキッチンの上に置く

次にとったのはしるふの左手だ