あの時も、これからも

そして手を突っ込むのは白衣のポケット

不思議そうなブラウンの瞳が見守る中、

「ほら」

探し出したのは小さな鍵

「これ」

「俺の部屋の鍵。住所はわかってるだろう」

こくりとうなずいたしるふの瞳が見上げてくる

変わらない無邪気な瞳に懐かしさと愛しさを覚えた

「5時には上がるから。部屋のもの漁っていいから間違っても一人で散歩しようとか、買い物行こうとかするなよ」

念を押すように言ってくる海斗に思わず笑みを浮かべながら

「過保護」

と小さくつぶやく

その言葉をちゃんと聞き取ったようで、

「いいから。黙って聞いとけ」

と容赦なく言い放たれてしまう

心配しているならそうだともう少しわかりやすく伝えてくれてもいいものなのに

こんなにもぶっきらぼうな言葉ではなかなか分かりにくい

「あと、タクシー使えよ」

冒険しようなんて間違っても思うなよ

しっかりと念を押す海斗の言葉にゆっくりとうなずけば満足そうに海斗の瞳が細まる

じゃあ、そう言って去っていく背はとてもあっけらかんとしていて

そっと人ごみに紛れていく背を見送る

残された掌の中の鍵

そっと撫でればしっかりとした形があって

それだけでもう十分なような気がした