あの時も、これからも

言い表せない想いで何も言えなくて

無意識にそっと唇をかむ

4か月ぶりの懐かしい姿は、一瞬ののちに優しい瞳を向けてくる

変わらない、それだけで十分だと思わせてくれる漆黒の瞳で

「どうした」

そしてそう問いかけてくる口調も変わらない

突然やってきた理由もわかっている、そんな気させさせる安心できる声音

変わったことといえば、記憶よりもほんの少しだけ精悍さを増したような気がすることだろうか

もう一度唇をかんで、声が震えたりしないように

「…逢いたかった、じゃ、ダメなわけ」

いつものように睨み付ければ

小さく、いや、とつぶやいて首を横に振る

二人の間を埋めたのは海斗で、ふわりと香る変わらない海斗の香りと

見上げなければいけないその長身と

頭の上に乗った手の大きさと優しさに

ああ、海斗だ

と一人目を閉じる

「芳川さんが、海斗が心配してるっていうから。あと航空券くれるし、医局長も笑顔でおくりだしてくれるし、」

それに

頭を撫でられながら紡がれるしるふの言葉

それを遮るように、わかっている、そう意味を込めてしるふの頭を二度ほどリズムを打つようにたたく

顔を上げないのは、いまでも意地っ張りな証拠

そう思ってそっと微笑む