でも医者としての海斗も知っている自分は、海斗にもっと上に行ってほしいって

医者として海斗が高みを目指すならそれを応援したいって気持ちもある

けれどそれと相反するように、海斗を、一人の彼氏として必要としている自分がそんなのいやだって泣き叫ぶ

離れたくない

でも海斗が待っていてくれというのなら、自分は…

ゆっくりと瞳を開ける

「わかった。海斗がそういうのなら私は待ってるよ」

この3年、海斗が自分を裏切ったことは一度もない

繋がれた手は、きっとまたつかんでみせる

自分にはこの温もりが必要だから

失いたくないと心が叫ぶのなら絶対にまたつかみ取ってみせる

「ねえ、海斗。一つ聞いてもいい?」

しるふと海斗の静かな瞳が交差する

そこに映るのは、信頼だ

不安がないわけじゃない

けれど、信じてる

この4年間を

その間に与えられた言葉をぬくもりを、愛しさを

「どしてさ…」


多分、この一年は生涯でもっとも長い一年

でも乗り切ってみせる

そう言い切れるほど、与えられた記憶は確固たるものだから