「藤堂さんて俺とタメなんだー。俺は学生だよ、S大通ってんだ」



沢田さんは、わたしが同い年でほぼ同期だとわかるとすぐにタメ口になった。



「藤堂さんてどこ住み?」

「隣町のN市です」

「じゃあJRかー、実家?」

「えぇ、まぁ」

「俺はこっちで一人暮らしなんだー」



…別に聞いてませんが。



非常にフランクというか人懐っこいというか馴れ馴れしいというか。

よく喋る人だ。



「藤堂さんなんで敬語なの?」

「仕事中ですし、タメ語にする理由がありません」

「かたーっ!仕事中つっても休憩中だよ今」



沢田さんは心底驚いたような顔をした。

多少オーバーリアクションだ。



わたしたちの働くコンビニ“花まるマート”はオフィス街のど真ん中に位置しているため、昼時は昼食を求める社会人たちでごった返し恐ろしい忙しさだけど、夕方ごろになると学校帰りの学生がちらほら来る程度でわりと暇になる。



暇な時間を利用し、田辺さんは新人ふたりを休憩中に回してくれていた。