「ごめん葵、ごめん。俺のせいで、せっかくの就職を無駄にさせた」



そらがきつく、きつくわたしを抱きしめる。

その腕は微かに震えていた。



「俺が全部責任取る。」




突然の事実に、不安を感じているのはわたしだけではないのに




「葵も子供も、幸せにするから」




その言葉は、希望に満ちていて




「だから産んで、葵。」




弱いわたしは、どうしてもすがってしまうのだ。



優しく温かな彼の言葉に。




「うぅ…うわあぁぁ…ああああ…」




嬉しいとか悔しいとか、色んな感情がごちゃまぜになって、ただひたすら涙だけが出てきた。




わたし達は弱い。


お腹に宿るこの子を、守ることができるかもわからないほど。




それでも




ふたり一緒なら、強くなれる気がした。

生きていける気がした。






ふたり、一緒なら。