働き始めて、3ヶ月が経った。



「あおっちと沢田君って、付き合ってんの?」



水橋さんが出勤前に、茶色に染めたパーマでふわふわの髪を一つに結わいながら言った。

“あおっち”というサムイ名を指すのは、残念ながらわたしのことだ。


「はい…?」

「仲良いよねーっ。こないだも、あおっちが12時出勤の日に沢田君、“あと10分で藤堂さんが来るー!”って言ってたよ」


その沢田さんの姿が容易に想像できて、わたしは身震いした。


「なんすかそれっ…こわ!」

「あはは、そんなこと言わないであげてー」



水橋さんは沢田さんを擁護しながら、完全に面白がっている。



「…単にタメでほぼ同期みたいなものだから親近感湧いてるだけですよ」

「そうかなー?」



んー、と水橋さんは宙を見た。




「あおっちは沢田君みたいのは無理なの?」