そして空港に着いて

車を止めてロビーで

立ち止まった。



「じゃあ、
 僕はココまでです。
 美倉さん、これを。」



伊波先生が白い封筒を

私に差し出した。


私は無言で受け取る。



「それからこれは
 久遠先生が
 管理して下さい。」



伊波先生は次に

久遠先生に別の

白い封筒を渡す。



「私にはぁ~??」



栞が冗談っぽく

伊波先生に言った。



「そういうと
 思ってましたよ。
 はい、これ。」



そう言って伊波先生は

少し厚みのある

白い封筒を栞に手渡した。



「わぁ~い♪
 私のが一番大きい♪」



「では、久遠先生。
 この子たちを
 よろしくお願いしますね。」



「はい。」



伊波先生と久遠先生が

少し微笑みながら

軽くうなずいていた。



「美倉さん。」



伊波先生が久遠先生から

私に向きなおる。



「・・・はい。」


伊波先生は

私を見つめたまま

次の言葉を続けなかった。



「・・・・いえ、
 気をつけて・・
 行ってきて下さい。」



何かの言葉を飲み込んだ

ように伊波先生が言った。



そして私が返事をするより

早く栞が口を開いた。



「で、どこ行くの??」



「チケットは久遠先生の
 封筒の中ですよ。」



伊波先生が

久遠先生を

見ながら言った。


久遠先生があわてて

白い封筒をあけ

チケットを取り出す。



「え・・・・。」



「久遠ちゃんどこ??」



「ほ・・っかい・・どう・・。」



驚きを隠せないままに

久遠先生が言った。




「北海道?!!」




空港のロビーに

栞の叫び声が響き渡った。