「ごめん」 「――」 「オレ、嘘ついたことになっちゃったね」 「――」 「絶対嘘つかないって、約束してたのに」 恭司の耳にいい香りとともに何かがふわっと触れる。 耳にかかる髪を上げられ、その耳に綾がキスをした。 恭司は驚いて顔をあげる。 「これでおあいこにしよう。わたしもひとつ、嘘をついた気がする」 「どういうこと?」 「誰も思い浮かばなかったなんて嘘だよ。いちばんに恭のこと、想った」 「――」