恭&綾~【恭&綾シリーズ】1


「えへへ」

「泣いたり、笑ったり、忙しいなぁ」

「いつも笑わせてくれるのは、恭の力ね。あっ、イタッ!」


綾が左目を抑える。


「どうしたの?」

「コンタクトずれちゃったみたい」

「コンタクト入れてんの? 大丈夫?」

「うん。ハードだからすぐずれちゃうの。慣れっこなんだけれど、いつも痛い」


苦笑いしながら、綾は目元に自分の指を持っていく。

それを見て、少し怖いものを見るように恭司が眉を顰めた。


「どうやってなおすの?」

「こうやってね、ここを人差し指で押さえて――」


綾は左目の目頭を右手の人差し指で押さえ、左手を顔の前に開いた。

顔を右に向け、左手のどこかに視線を絞り、顔をゆっくり左側に動かし始めた。

それがどこか、恭司は気付く。