「綾がいて欲しいなら、朝までいるよ。――でも、何もしない」 恭司の言葉に綾が顔を上げる。 自分から先に言うのもなんだけれど、きっとこう言っとくべきなんだと恭司は思っていた。 「綾のこと、いっぱい知りたい。いっぱい話そう」 「――うん。ありがとう」 綾は言いながら、瞳を潤ませていた。 「あ~あ、そんな大きな目をして、そんな風に涙見せるなんて、ずるいな」 「泣いてないわよ」 「泣きそうになってるよ」 ドキッとしたことを見破られないように、恭司は笑って見せた。