ちっちゃいあいつの夏休み

ぐるるるる。




「…俺の腹の虫、です…」




「うん、なんとなくわかった」




照れた様子で手を挙げたのは橋本。




「そういえばもうお昼だしね。




待ってて!昨日のカレー残ってるから」




「あーい」




兄さんの間伸びた返事を聞いてから、私はキッチンへ入っていった。




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テーブルの上には、カレーが2皿。




…と、醤油用みたいな小さい皿に、ほんの少しのカレーの残骸。




橋本はご飯粒を両手で抱えて食べる。何とも、愛らしい。




「うえ、ベトベト…って何見てんだよ」




「いえ何も」




笑いをこらえながら、カレーを口に運んだ。




「橋本、どーすんの? そのまま家帰ったら、親倒れんじゃない?」




「夏休みいっぱい海外旅行」




…どっかで聞いた台詞だ。




「じゃ、うちで預かるか!」




いきなり言い出したのは兄さんだ。




「そっそんなメーワクかけらんないっすよっ」




「よく言うよ、そのサイズで」