同時にりせの身に、大地から立ち昇った『何か』がまとわりつく。

…鉛色の曇り空のような色、人魂のようでいて、その中心には苦痛に表情を歪めた人間の顔のようなものが浮かんでいる。

そんな『何か』が彼女の体にまとわりつき、『食い』始める。

食われた場所からは血の一滴も流れない。

苦痛すら感じていないようだった。

ただ、食われたその箇所が消失する。

りせの肉体が、食われる事によって失われているのだ。

「ここは死の世界…死んだ者が来る世界よ。肉体があるなんておかしいわ」

メグは冷酷なまでの表情でりせに宣告する。

「『死』そのもののお出迎え…貴女は死によって肉体を侵蝕されていくわ」