「結界が反応するのは『人間や動物以外の侵入者のみ』…申してみよ、お前は何者じゃ?悪狐か?それとも妖魅の類か?」

目の前で凄む姫羅木。

その頭頂部から一対の狐の耳が、尻からは四本の長くフサフサした白銀の尻尾が現れる!

「えっ、なっ…?」

ギョッとするりせ。

「驚いたか、わらわはこの冬城の地を千年以上守護してきた稲荷(狐霊)じゃ」

中国における狐の分類によると、善狐の中でも千年以上生きた狐を『仙狐(せんこ)』と呼ぶ。

そして更に、千歳を超え強力な神通力を持ち神格化した九尾の狐より格上の狐は『天狐(てんこ)』と呼ばれる。

尾の数は四本。

姫羅木は神にも等しい能力を持つ狐霊なのだ。