「ありがとう、時雨くん。」

「いえ。笹倉先輩も手伝ってください。」

俺のほうを振り向き、無表情で言った。

(美羽の前では、俺の名前ちゃんと言うんだな。)

「イヤだ、俺は眠い。だから寝る。」

「なんなのその理屈…」

美羽が呆れ顔で俺を見た。

「ぶっ!!」

時雨が何かを顔に投げてきた。確認してみると、それは雑巾だった。

「時雨っ!何すんだ!きったねぇな!」

「手伝ってください。」

「えー「手伝え」

美羽に聞こえないように小さな声で言い、ものすごい形相で睨んできた。