復讐ストーカーゲーム1

逃げれば……逃亡すれば――ウイルスキラーに復讐するチャンスも、そして借金でこの家に迷惑掛けることも多少なりとも減る。急ぐんだ。


――ドンドンドンドン!!!! ドンドンドンドン!!!!


ドアがまた強打されている。そんな音に構っている場合ではなかった。もうそんな音色も聞きたくないし、復讐されるなんてゴメンだ。


「信介さん!!!! 信介さん!!!! お母様が今日の夕食私に任せてくれるっていうの。私は凄く嬉しいんだけど、貴方は食べないわよね? 私の料理はまずいんですものね?」


不快な連続音に耳鳴りがしそうだった。でもそれも今日までだ。荷物をまとめ、チャックを閉めた。


ここは俺と秋雄が生まれ育った家……思い出の場所だが仕方が無いんだ……こうなってしまった以上、出て行くしかない。


お袋。親父……遠くから見守っているから安心してな――。