復讐ストーカーゲーム1

 ――ドンドンドン!!!! ドンドンドン!!!!


部屋を連打する音に、体がびくりと反応した。


「ねぇ、信介さん! うちの母親、貴方に会ってからずっと様子が変だったのよ! なにか知っているんでしょう! 教えてよ本当のこと!」


絵恋さんの声だった。何度も何度も、こうもドアを叩かれると、こちらもだんだんと頭が痛くなった。


「今着替えるから待って……でも本当に、なにも知らないんだよ」


急いで下着やTシャツ、ズボンを着込もうとした。持っている携帯が邪魔だと思い、また机に戻すと鼠の死骸と目が合った。


――まさか、まさかだと思うけど……なにもかも知っていて、わざと絵恋さんは言っている? 


「今日警察を訪れた後、実家を覗いたの。母が戻って来いと前の日に、やたらうるさかったから心配で見に行ったのよ。

居なかったわ! 誰も居なかったの! 普段外出があまり好きではない母が居なかった! まさか家の母親も行方不明ってことないわよね? ねぇ! 教えてよ信介さん!!!!」


乱暴にドアが強打され、足で蹴り飛ばす音までも聞こえてきた。


思わず両手で耳をぎゅっと塞いだ。


――鼠が死んだのは毒なのか……? 絵恋さんは、もしかして秋雄や母親が亡くなったのを知っていて、俺に復讐しようとしているのか?


サイトのことを問い質せば、なにもかもはっきりさせられる話だった。


でも万が一、その思惑が外れたとしたら絵恋の命はない。