絵恋さん……? 


「信介さん! お母様たちと警察に行って来たのよ!」


何度もドアを叩き、大きな声を出す絵恋。昨日出来事が頭に蘇った。


昨夜よりは、いくらか体力や気力が回復している。少しは絵恋さんの話をまともに聞けるかもしれない。それにお風呂にも入りたかった。


ドアを殴る音を目覚ましに、重い上半身を起こした。布団を捲り、立ち上がりバスタオルを手に取る。体がじっとりと汗ばんでいた。


風呂に入ってスッキリすれば、新たな手段が閃くかも知れない。そう思考を巡らし、扉を開いた。


「信介さん! 捜索願いを出してきたの。良く寝ていられるわね? お兄さんがいなくなったのよ?

それに外にガラの悪い金融関係のような人がいたけど……信介さん、仕事はしているの?」