「信介さん。私、秋雄さんの無事を祈っていたいの……ご両親たちへの報告をお願いしてもいいかな……?」


「……」


「ねぇ! 信介さん聞いてるの!!!! ねぇ……お願いだから貴方ぐらい返事をしてよ……お願いよ――」


膝の上で、ぎゅっと握り締める両手。汗ばむ感触。熱くなる瞳。


――また洗いっこしようぜ、ほら早く行くぞ!


――頭もついでに洗ってやるよ、嬉しいだろう? こう見えて、お前に感謝してるところもあるんだよ。


――俺はいつも帰りが遅いし、お前が両親の面倒を見てくれる。本当に助かっている。ありがとう。


秋雄の幻聴、笑みが見えた。


俺もきっと、あっちへ逝かなくてはいけない人間なんだ――。