救急車で運びこまれた秋雄は、すぐさま手術室に移動され緊急オペが行われた。


ガラガラと車輪を回す担架の音が、肉体を緊張させ、絵恋のひきつれた叫びは、責め苦のように心臓にチクチクと針を刺した。


そして秋雄が消えたあの手術室の開閉は、重く心にのしかかり、俺の精神を深い闇へと突き落とした。


絵恋さんと俺は、手術室近くの長椅子に二人で腰をかけていたが、その感覚すらも良く分からなかった。


――なぜ、俺はここにいるんだ? 


自分自身に問いかけてみるが、ストップした精神には、返答する余地も無かった。