「秋雄はまだ死んだわけじゃない! 絵恋さん……ここは救急隊に任せて、一緒に病院に行こう」


救急隊も舞台に到着し、素早く声を合せ、担架に乗せる準備をしている。その様子を目にした絵恋は、愛おしい人の体をそっと離した。


「……信介さん。犯人は見たの? なぜ、秋雄さんはこんなことに――?」


憤る瞳は、俺を睨みつけた。


「……見ていないんだ」


強い意志を持つ、その眼差しを受け止められず、視線をまた下へと逸らした。


――怨まれても仕方が無いのかもしれない。こうなることも予測していたのに、俺は守れなかった……。


「ご家族の方も、車へお願いします! とても危険な状態なので早くしてください!」