「悪い、悪い信介。遅くなった……っていうかヴィッツのような小型車でお前、腹大丈夫か？　狭いだろう？」


――余計なお世話だ。早く乗れ！


「大丈夫だよーお兄ちゃんー。この車種が一番安いから仕方が無いんだよー早く車に乗ってよー」


思わず棒読みになってしまった。感情を込めて、お前が大切だということをアピールせねばならないのに。


「秋雄さん、大丈夫よ。信介さん、前より痩せましたよね？」


「え、絵恋さん！　良く分かりましたね！　そうなんです。少しだけジムに通っていたんです」


思わず感激して、エンジンを唸らせた。


「そうか？　なにも変わっていないような……？」


――うるせー！　取りあえず出発だ！