「なによ、こっちをじっと見ないでよ! 照れるじゃない……ねぇ、ひろみの住所が情報に載ってない? それだと手っ取り早いのに」


「本末転倒ですよ! 誰よりも先に獲得するんです。えっと……まだ掲示されていないようですね」


「じゃあ、瑠璃の自宅付近の大通り。ここに停めて、取りあえず様子を見ましょう。予約を入れたと言っていたんだから、引越しの車は直ぐに来るわよね」


張飛はハンドルに顎を乗せ、狙いを定めた自宅方面に顔を向けていた。


「……だけど不思議ですよね。復讐相手を殺すために、誰かを殺す。それだけの凄まじい怒りは分るんですけど、張飛からは感じられないなぁ?

本当にいるの? 殺したい相手」


言った後に沈黙が流れた。


通りを勢い良く走る車の音と、この車のエンジン音がやたら耳に付いた。


ぴりついた空気が流れ、張飛はこちらを向いた。今まで見たことがないような、怖い表情だった。