二人は笑いが毀れ、良いムードだった。俺達は恋人同士のような両名に目を配り、慣れない目黒を見渡しながら歩いた。


芸能人、金持ちの街と言われるだけあって、隠れ家のような名店も多い。用心しながら間合いを計った。


多分紅葉にとってここら辺は、女を落とす庭のようなものなんだろう。手馴れているはずだ。


「ねぇねぇ。そう言えばさ、結婚式どうだった? 絵恋さんは諦めついたの?」


「あーその話ですか……諦めたくないですけど――そうだ、シスターに会いましたよ? Hideのメール来たでしょう? 現れたんですよ。物凄く恐ろしい人ですね」


「ランキングのシスターのこと? どんな人だったの!」


張飛は目を輝かせ、腕を回してきた。


――おいおい、恋人かよ?