「なんだ、もうトレーニングは終わりか?」


「お前に……瑠璃をやろうか? あいつ目黒の高級マンションに住んでいるよ。俺と一緒にな。空けてやろうか?」


紅葉が笑いかけると、不知火は真面目な顔付きをした。


「あの子……お前のこと、すげー本気じゃん? 無理だよ」


「……そうか。今日は俺、狙っていたセレブと念願の待ち合わせなんだ。ハードな筋トレしたいんで、そろそろ他のマシーンに移るよ。その気になったら連絡くれ」


「……ああ」


機嫌を良くした紅葉は、鼻歌が毀れ一番奥のマシーンへと歩いた。


――女を共有するって、どんな感じなんだろうか。俺にはその世界が分からなかった。