「信介、玄関の扉を開けてやってくれ」


「ああ、分かった。お待ちしてました、どうぞ。 ……ひいっ!」


戸口に現れたのは背中が曲がった醜い小男。顔の左右までもが、ひん曲がっている。


「坊ちゃん。失礼します」


靴を脱ぎ上がりこんだ小男。こんなに背が低い男は生まれて初めて見た。


すれ違った横顔を見ると、左右の顔のバランスというよりも、顎がやたら突き出て曲がっているため、そう見えてしまうようだった。


「悪いねぇ犬飼君。休日なのに態々来てもらって。良かったらオニギリを食べなさい」


「なにを言ってるんですか社長! こんな醜い容姿を持った俺っちを拾ってくれた恩は忘れませんでゲス。

あの頃は悲惨でした。面接500連敗中で死のうかと思っていましたから……坊ちゃんもなんなりとお申し付けて下さいゲス」