目が覚め、半目でデジタル時計を見ると、もうすぐ10時だった。


昨日は帰宅してから疲労がどっと出てしまい、寝てしまった。俺が夕飯を食わなかっただなんて、人生初体験だな……。


取り合えず飯だ！　力が入らん！　


ボーっとする頭でバスタオルを掴み、階段を下りた。トーストの香ばしい良い香りが薄っすらと残っている。


「信ちゃん、やっと起きたのね。お仕事はお休みなの？　夜ご飯を食べなかったから、お母さん凄く心配したわよ。大丈夫なの？」


階段下から覗き込む、お袋の横を素通りした。


「大丈夫。仕事は休みだよ……あのさ、昨日の晩御飯はなんだったの？」


「鰻よ！　精力がつくわよ！　食べる？　信ちゃんの分、１０枚取ってあるけど、トーストとどっちがいい？」