もうちょっとで結婚出来たのに? いや、ちょっと違う……絵恋さんが秋雄のモノになるのが、モヤモヤするんだ。


「はい信ちゃん、ご飯。秋雄ちゃんは今日も遅いのかしらねぇー」


「早く終わったとしても、絵恋さんと打ち合わせとかあるんじゃねーの」


自分で言ってて、イライラした。思わず白飯を掻き込んだ。


万が一早く帰って来たら、秋雄と顔を合わせてしまう。今はそれを避けたかった。


「ご馳走様! 大丈夫心配しないで。体調は万全にしておくから! 勿論声もね! この美声で賛美歌を歌わなくっちゃ」


不満な気持ちは、どうやったら切り替えられるんだろう――スイッチみたいな物が、あれば良いのに。


いつもと違う行動と態度に、両親は心配そうに俺の顔を覗き込んだ。