「昔、金には随分苦労したそうだからなぁ……気を使わなくてもいいのに。

短時間で終わるから安く式が挙げられるし、幼い頃から良くしてくれた人達に、見送られるのがとっても嬉しいんだとさ。

良い嫁さんだよなぁー。信介も、そんな女性を見つけて来るんだぞ」


うるさい、うるさいと言わんばかりに、味噌汁を啜る。熱が篭った油揚げに、思わず舌を出した。


熱すぎるぜ、お袋! 舌がヒリヒリするじゃないか!


「埼玉の奥の方って言っていたわねぇ。なんにもない場所だから、教会で良く遊んでいたんですって……どんな所か楽しみね」


「お袋、御飯お代わり!」


話を聞いてるとモヤモヤする。俺だって、もうちょっとで結婚出来たのに!